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札幌高等裁判所 昭和54年(く)20号 決定 1979年8月02日

少年 B・S(昭三六・一・二生)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の趣旨及び理由は、少年が提出した抗告申立書に記載されたとおりであるから、これを引用する。

所論は、要するに、少年に対しては、少年院におけるいわゆる交通短期処遇が相当であるのに、右処遇の勧告を付することなく、少年を中等少年院に送致することとした原決定の処分は、重過ぎて著しく不当である、と主張するものと理解される。

そこで、少年保護事件記録及び少年調査記録を精査検討すると、原決定が摘示する少年の非行歴、本件非行の動機・原因、昭和五一年六月三〇日に保護観察に付されて以来の日常生活の状況、少年の資質・性向、家庭の監護能力及び少年が担当保護司の指導監督に服さない状況は、右の各記録により優に肯認することができ、これらの諸事由によれば、本件の非行事実が無免許運転と赤色信号無視という自動車運転に係る非行にすぎないとしても、少年の問題性は、早期要善の可能性が小さく、短期間の施設収容による指導・訓練によつてもその矯正は困難と認められるから、相当長期間の継続的・集中的な施設内教育を行う必要があるといわなければならない。したがつて、原決定挙示の各法条を適用して少年を中等少年院に送致することとした原決定の処分は、相当であり、これが重過ぎて著しく不当であるとは到底いえないから、論旨は理由がない。

よつて、本件抗告は理由がないので、少年法三三条一項後段、少年審判規則五〇条により、本件抗告を棄却することとし、主文のとおり決定をする。

(裁判長裁判官 山本卓 裁判官 藤原昇治 雛形要松)

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